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  偽浮浪者 15(最終回)

「君も承知と思うがあのクラブは会長の贔屓の店だ。ママは協力者だ。この話を、該当者に直接話しては意味をなさなくなる」


社長は悪戯っぽくにっこり笑って言う。


 石田専務はこの日、喜びより責任の重圧に押しつぶされそうだった。しかし、その一方で心は奮い立っていた。


 コンビニを先に出た山口瑠美子は過去のもやもやから断ち切れた。


 住田の失恋の話を聞いた時、恋人の白井の気持ちが手に取るようにわかった。自分がそうだったから。


 あの頃の自分はその人の気持ちなど少しもわかっていなかった。失恋したと思い込んでいた。


 その人の自分への愛の気持ちはわかっていた。しかし、いつも煮え切らない。せつなく悲しかった。


 私はその人にいるはずもない男友達の話をした。その男友達に愛を告白された。どうしたら良いと嘘の相談をした。


「君はどう思っているの?」


 と聞かれたので、


「素敵な人よ」


 と答えた。それ以来二人の間はぎくしゃくした。そして、いつの間にか別れることになった。


 今はあの頃の馬鹿な私が良くわかる。住田がよりを戻すことになって、山口は自分のことのように嬉しかった。


 山口に続いて住田もコンビニを出た。今、専務室にいる。


「そうか、あれ以来見かけないか。人は理由の無い行動はしない。我々に考えつかない何か理由があるのだろう」


「しかし奇妙ですね!ひょっとして犯罪が絡んでるのでしょうか?」


「住田君はえびせんを食べたことがあるか?」


「はい!学生時代はビールのつまみです。安上りですから」


「そのメーカーの一つ、某社会長の話だが、毎週日曜日はコンビニとスーパーをみすぼらしい服装で回るそうだ」


「考えられない話ですね。社員が何千人といるでしょうに」


「住田君は考えるだけでなく行動した。これは大事なことだ。これからも期待しているよ」


「それから、浮浪者の件はこれで終わりにする。ありがとう!」


                        終わり

次回は新作です。ご期待下さい。6月8日朝10時に掲載します