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        偽浮浪者 12

 過去に失恋が癒えるのに少なくとも半年はかかった。今回は失恋して一週間も経たないのに失意の気持ちはない。


 住田の心に変化が起きている。年上の山口に好きと言う気持ちはまだ意識しないが、堪らなくせつない気持ちだ。


 僕は移り気なのだろうか?女心に秋の空と言うが今の自分もそうかも知れない。自分がわからなくなった。


 白井との朝の当番を思っただけで胸がときめいた。今それは消えてしまった。むしろ思いは屈辱に近い。


 彼女は恋人がいることを遠回しに告げて来た。どうしてはっきり言ってくれない。軟な男と思われたようだ。


 悔しい気持ちと君だけが女性じゃない。自惚れるんじゃない。そんな反発心も起きていた。


 次の朝、思いがけなく白井からメールが届いた。


”おはようございます。先日お話したプレゼントは何が良いか考えてくれました?”


 気楽なメールだ。無神経な人だなと思いながら返信した。


しかし、一方で嬉しいような複雑な気持ちがあった。


”予算がわからないと考えられないよ”


 すぐに返信が来た。


”三千円くらいまででお願いします”


 恋人へのプレゼントとしては安価過ぎると思ったが、人それぞれに考え方あると思い直した。


”ボールペンはどうだろう?複数あっても良いよ。但しその予算上限で選ぶこと”


 又すぐに返信が来た。


”今日帰りに選んで貰えませんか?お願いします”


 恋人に渡すプレゼントを他の男に選ばせるなんて無神経な人だと情けなく思った。


 今日の予定など無い住田は、


”定時に退社する。改札で待ちます”


 と本意ではないがメールした。


 住田の心はせつなくなっていた。どうしてだかわからない。恋人のいる彼女に未練などあるはずもないのに。


                        つづく

次回13回は5月18日金曜日朝10時に掲載します