Shopping Cart
Your Cart is Empty
Quantity:
Subtotal
Taxes
Shipping
Total
There was an error with PayPalClick here to try again
CelebrateThank you for your business!You should be receiving an order confirmation from Paypal shortly.Exit Shopping Cart

             人込み 8

「驚かないよ。良くある話だよ。いつ頃の事?」


 藤野はショックだった。何気ないふりをして聞いた。


「10年も前の事。昔の事よ」


「その人のこと、思い出してたの?」


「私、鈍感だったの」


「ふーん、どう言うふうに」


「2年も気づかなかったの。まさか結婚しているなんて」


「2年もね。確かに鈍感だね。そうか、互いの家に行くことはなかったんだね」


「そんなことはないわよ。時々、彼の家に行ってたのよ」


「そうか、別居中と言うことだな」


「単身赴任だったの。両方うまくやってたのね」


「2年もだろう?巧みな男だね。結婚の話などしなかったの?」


「女の私からは、出来ないわよ」


「川村は、古風な女性なんだね」


「すべてが嫌になったの。死のうと思ったわ」


「男は何て言ってたの?」


「隠すつもりは無かったが、言いそびれてしまったと言うのよ」


「何だそれ、もっとましな言いわけ出来なかったのかな」


「悪びれもなく言うのよ。その時点で別れるつもりだったようね。何の弁解もしないの。悔しくて悲しくて」


「そうか!あの日の人違いは、その人と間違えたんだ」


「違うわよ。その人のことはどうでも良いの。あの時は雲隠れした社長と見間違えたの」


                                つづく

次回は5月3日金曜日朝10時に掲載します