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             人込み 7

 店を出て通りを渡るとタクシーを止めた。


「どこに行くの?近くじゃないの?」


「近くだよ。さ、乗って!」


 麗子の後に藤野は乗り込んだ。


「運転手さん、パークハイアットへ」


「ちょっと!そこホテルじゃない!」


「そうだよ、そこの41階のバーだよ。夜景が素晴らしいんだ!新宿の夜景の素晴らしさは、ここが一番だと思う」


 さらりと言ってのける藤野に、遊び慣れているのかも知れないと麗子は警戒心を持った。


 そこは、知る人ぞ知る場所かも知れない。席はほぼ埋まっていた。運よく窓近くに座ることが出来た。


 藤野の注文したカクテルを呑みながら、思い出話の続きを始めた。夜景が映画のシーンのように眼前に広がる。


 麗子は二杯目のカクテルを、藤野の勧められるままに飲み始めた。夜景に目を奪われ言葉少なになった。


「どうしたの?僕の話聞いてる?」


「聞いてるわよ。夜景を見ていると色々考えてしまう。ごめんね。話は聞いていたのよ」


「何か悩んでいる?」


「わたし、悪い女なの」


「ふーん、どうして?」


「ね、見て!あのビルもその向こうのビルも、みんな人が住んでいる。みんな、色々な人生を生きている」


「……」


「どのビルもネオンと一緒にキラキラと輝いているけど、こちらからは見えないだけ。泣いてる人、悲しんでいる人いるのよね」


「ロマンチストだね。でも川村らしい気がする。しかし、悪い女ってどう言うこと?話すと楽になることもあるよ」


「……」


「話したくなかったら、話さなくて良いよ」


「聞いて、私…、不倫してたの」


                        つづく

次回は4月26日朝10時に掲載します