Shopping Cart
Your Cart is Empty
Quantity:
Subtotal
Taxes
Shipping
Total
There was an error with PayPalClick here to try again
CelebrateThank you for your business!You should be receiving an order confirmation from Paypal shortly.Exit Shopping Cart

             人込み 6

「本当?藤野君。あたしには信じられないのだけど」


「どうして?」


「あたし、藤野君にいたずらされたことしか思い出せないの」


「僕がいたずらした?」


「そうよ!セロテープ覚えてる?筆箱の蓋、カバンの蓋、開かなくて困ったわよ。それから背中の張り紙」


「健忘症だから覚えてないな」


「そうだったわね。思い出させてあげるわ。押しピンは忘れてないわよね」


「……」


「英語の時間、あたしが差されて座った時。思わず悲鳴上げたわ。先生が飛んで来てわ。思い出した?」


「少しね」


「あたしは痛いより恥ずかしくて、机に伏していたら、先生が心配して保健室へすぐ行くように言ったわ」


 後ろの席は藤野だった。先生に頭を叩かれた。


「ごめんね。思い出したよ。痛かった?」


「痛みはすぐ取れたけど、心配だからお風呂に入った時、手鏡で見たの。赤い小さな跡があったの」


「ふーん!裸でおしり見たんだ」


「何考えてるの!エッチね」


「自分でもわからないんだ。なぜそんなことをしたんだろう?好きな人に…」


「本当にあたし好きだったの?」


「好きだった。中学生時代の一番の思い出だよ」


「今の、恋人はどこで知り合ったの?」


「恋人なんかいないよ。10年前に振られてね。それ以来恋なんかしたことないな。川村の恋人は?」


「あたしもいないわよ」


「へー?信じられないな。あっちこっちで男を振り回しているんじゃない」


「失礼ね!あたしは一直線なの。そんなこと出来ないわ」


「ふーん、一直線な人がいたんだ?」


「そんなことどうでも良いじゃない」


「そうだね。どうでも良いね。この近くにしゃれた店があるんだよ。行こう」


「あたし、お酒苦手なの。また今度にしよう」


「大丈夫、無理に勧めないから。夜景が綺麗なんだよ」


 夜景と言われて麗子は少しならと思った。二人はその店に向かった。


                       つづく

次回は4月19日金曜日朝10時に掲載します