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 麗子の心に澱のようにあった嫌なことが、目の前に煌めき広がる夜景を見ているとどうでも良い事に思えてきた。


 同じ夜景がここに座った最初の時と、まるで違って見える。恋人ではないけれど、一人でなく一緒に見ている。


 カクテルを交わしながら、何でも話せる気がした。恋人でないのが良かった。女性同士ではあり得ないことだ。


「そろそろ出ようか?もう直ぐ12時になるよ」


「あら、もうそんな時間なのね。帰らなくては」


「駅まで送って行くよ」


 新宿駅に向かうタクシーの中で二人は無言だった。麗子な何だか寂しくなった。


『電車大丈夫?泊って行こうと誘われると思った。もちろん断るつもりでいたけど。私、もう魅力ないのね』


『電車あるのかな?帰らなくてはと言うから、あると思ったけど大丈夫かな?誘ったら断られるに決まっている。そして二度と会えなくなる』


 タクシーを降りた。JRの改札は直ぐだ。


「あたし、京王線なの。今日はありがとう。楽しかった」


「こちらこそありがとう。久しぶりに楽しかった。又会ってくれる?」


「良いわよ。いつでも」


 麗子は思わず言ってしまった。いつでもとは安売りみたいと思った。笑い顔でごまかした。


「えっ、本当?タクシーの中で黙っていたから怒っているのかなと思ってた」


「何か怒る理由あった?」


「何か気分を悪くすることを言ったのではと」


「全然ないわよ。カクテル美味しかったわね。今度はあたしがご馳走するから又行こうね」


「じゃ、明後日金曜日どう?」


「良いわよ」


「嬉しいな!午後6時に京王の改札前で良い?」


「京王の改札で良いのね?」


「うん、だからその改札まで送って行く」


                        つづく

次回は5月17日金曜日朝10時に掲載します