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人待ちおでん屋台 4.

 「ほう、昼間も働いてるんだ。頑張るね」


 先に来た男が感心したように言う。


「そうよ、働くのが好きだから


 昼間も働いているとうっかり言ってしまった。女将は急に横にずれて、溜まった皿を洗い始めた。


「女将さん、ママ?あら、なんて呼んだら良いのかしら?」


 後からきた待ち合わせの女が言う。


「何て呼んでも良いわよ。何かしら?」


「とろろ昆布はどうやって入れるのですか?さらしに包んで入れるとか」


「そのまま入れるのよ。手で小さくほぐして入れるの。溶けてなくなるから心配ないのよ。昆布のように取り出す必要はないのよ」


「ありがとうございます。だしはこれだけでいいのですか?」


「他に煮干しを使うのよ。化学調味料は使っちゃダメよ、舌に残るし、おでんのネタがみんな同じ味になるからね」


「はい、ありがとうございます」


「裕美ちゃん良かったね。ママ、持ち帰りたいのだけど大丈夫?」


「はい、大丈夫ですよ」


「じゃ、だいこんとさつま揚げ、ごぼう巻きにはんぺんと玉子。全て2個づつ下さい。おつゆたっぷり入れてね」


 年の離れたカップルは、男がおでんを手に持ち、嬉しそうに帰って行った。


「女将、今の夫婦かな?」


 一昨日の男が口を開いた。


「さあ?どうなんでしょう?」


「羨ましいようですね」


 ここで女が口を利いた。


「あなたも彼氏がいるでしょう」


「とんでもないです。ずっーと一人です」


「ずっーとって?いつから?あっ、ごめん余計なこと聞いちゃった」


「いいえ、良いんです。片思いはありますけどね…」


「片思い?変だな。貴女は素敵な人ですよ。相手は何て言ったのですか?」


「話したことありません」


「ひょっとするとその人も貴女のことを思っていたかも知れませんよ」


「いいえ、その人には付き合っている人がいたのです」


「そうですか、でもそう言うものです。想うに想われず、想わぬ人から想われてと言うでしょう」


「あら、それ、意味が違うんじゃないかしら」


 女将が口を挟む。


「あっ、そうか。ちょっと違ったな」


 男は急に照れた顔をした。うっかり自分のことを言っていた。一昨日、彼女を見た時から気持ちが魅かれていたのである。

                             つづく

続き5回は3月18日金曜日朝10時に掲載します