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    7.二人の新年

  井戸端には先客が二人いた。同じ長屋の女房達である。二人は顔を見合せて同時に、


「あら、良い男!」


 思わず二人は口に出た。


「おみつさんの旦那ね、ここ使って下さいな。あたし今終わったところですから・・・」


「おや、まあー、よそゆき言葉使っちゃってさ」


 年上の方の女房が言う。


「何言ってんだよ!あんたも早く終わらせないと、年の瀬は終わっちゃうよ!」


 若い方の女房は直ぐにいつもの口調に戻って言う。


「おお、怖!言われなくったってわかってんだよ!」


 良太はおみつの旦那と言われたのが気恥ずかしく、口が利けずに無言でいる。


 年上の女房はそれから直ぐに、洗い物が終わったようで、


「おじゃましました」


 と媚を売るかのようによそゆき言葉を使い、にっと笑って長屋へ去って行った。頭痛持ちなのか、おでこに膏薬が貼ってあった。


 井戸端は一人になった。しかし、半刻もしないうちに道具の手入れは終わった。昨日は道具を使っていないから当然であるが、良太の心は落ち着いた。


 長屋に戻ると、おみつが待っていたように、


「お昼ですよ。お腹空いたでしょう?遅くなってごめんなさい」


 良太はお腹が空いてた。おにぎりに熱い味噌汁、里芋の煮付けにたくあん。うまかった。


 おにぎりは、昼飯の分を朝余分に炊いてあった。なかなかおみつは賢いようだ。


「あたし、来年はぬか漬け習って来るからね。たくあんでごめんなさい」


「おいら、たくあん大好きだよ。これで十分だよ」


 昼飯が済むと、


「良太さん、湯屋に行っておいで」


 手拭いと小銭を渡された。良太は何をしていいかわからず、手持無沙汰でどうしょうかと思っていた矢先のこと、おみつに言い当てられたような気がした。


「なんか、邪魔にされてるみたいだな」


「そうよ!邪魔なの。御馳走いっぱい作るんだから」


「銭はあるよ」


「いいわよ、持って行って来なさいよ」


 湯屋から帰ると部屋中においしそうな匂いが漂っていた。


「もう少しでできるわ。疲れているのだから、少し寝るといいわ」


「なんか手伝うことないのか?」


「ないわよ、本所まで往復して疲れているのだから、寝ると良いわよ」


 言われてみたら、疲れたのか湯屋に入って気持ち良くなったのか眠くなってきた。言われるままに火鉢の横に良太は寝た。


 目が覚めると体に蒲団が掛けてあり、枕をしていた。


 おみつも火鉢の前に座り、両手をあぶりながら良太を見ていた。


「あら、起きたのね。よく寝てたわよ。やっぱり疲れてたのね」


「本当に良く寝た!」


 良太は大きく欠伸をした。


「あたし、湯屋に行って来ていいかしら?」


「ああ、行っておいで。留守番してるから」


 おみつが出て行った後、することもなく火鉢に当たっていると、また眠くなってきた。良太は横になりさっきの蒲団を掛けてまた寝た。


 目が覚めると、箱膳に所狭しと料理が並べられていた。


おみつはとっくに帰って来たみたいで台所で立ち働いていた。


「おみつさん!お帰り」


 おみつは振り返った。綺麗だ!風呂上りに薄化粧をしたらしく、そのあまりの美しさに良太はドキッとした。改めて心を奪われた。


「今起こそうと思ったの。ご飯にしましょうね」


 箱膳の前に座ると、おみつがお銚子を持ってきた。


「どうぞ!」 


 良太は伏せてあった盃で受け、いっきに飲んだ。酒はあまり好きなほうではなかったが、兄弟子と時々飲んだ。しかし、うまいと思ったのは初めてだった。


 おみつも飲んだ。二人はぎこちなく差しつ差されつを繰り返した。料理は居酒屋料理だったが、おみつの心づくしだった。良太にとって初めての御馳走だった。


 いつの間にか、おみつの顔がぽっと桜色に染まり一段と奇麗だった。


「あたし、酔ったのかしら、横になって良い?」


「良いよ、おいらも少し酔ったようだ。おいらが布団敷いてやる」


 良太は箱膳を隅に寄せて布団を敷いた。二つの蒲団は箱膳のせいで少し重ねて敷くしかなかった。


 おみつは軽く横になるつもりでいたのだが、布団を良太が敷いたので襦袢になって布団に入った。


 その様子を良太は眩しく見ていた。体が意味もわからず熱くなってきた。


「良太さんも浴衣に着替えたら?」


 良太は言葉をかけられて、見透かれたかと思いドキッとした。思わず口ごもり、


「うん、そうする」


 とどぎまぎして言った。


 良太も浴衣になり布団に入った。


「ねぇ、足が冷たいの。そばに行っても良い?」


「おいで、あっためてあげる」


 良太は自分からおみつを引き寄せた。お酒の匂いとともに、おみつから何とも言えない甘い良い匂いがする。


 兄弟子の言葉が蘇って来た。女を抱くことは乳を吸うことだ。


 良太はいきなりおみつの乳を引っ張りだした。


「いや!どうしたのよ」


 小さな乳首だった。良太は吸った。両方の乳を吸った。がむしゃらに吸った。もう、突っ張りが当たってもどうでも良かった。体のますますの高まりはどうしていいかわからなかった。良太はおみつに被さり夢中になって吸った。


 おみつはそっと足を開いた。突っ張りが丁度そのそばに当たる。乳を吸われたおみつの身体は充分の態勢になっていた。良太はもっと強くそれを擦りつけてきた。おみつは合わせるように足をもっと開いた。その一瞬だった。良太が入ってきた。おみつはあっと小さく声を上げた。後は良太の本能の動きだった。体がだんだん熱くなりさらに大きくなって弾けた。


 初めての強烈な快感だった。魂が抜けたようだった。良太は静かになった。


 おみつは、仰向けの両目から涙が頬を伝い落ちた。


「ごめんね、無理やりだったね」


「ううん、良いの。うれしいの。すごくうれしいの」


 おみつは良太に抱きついて行った。良太も力いっぱい抱きしめた。


「おみつさん。結婚してくれないか?」


 おみつは黙っていた。


「おいらじゃ嫌か?」


 おみつはまだ黙ったままであった。嬉しくて返事をしようにも声にならなかったのである。


「結婚してくれ!お願いだ。きっと幸せにするから。お願いだから結婚してくれ!」


 自分のしたことが無理やりで、おみつに申し訳ないと反省した。だからなお必死だった。そう思うとおみつが切なくて切なくて堪らなくなった。


 良太は女の接し方がわからない。だから、またおみつの乳を吸った。左を放すと右を吸った。おみつは切なくなって、両手で良太の顔を引き寄せ口づけをした。長い口づけだった。口を放すと、


「おみつさん、結婚してくれ!お願いだ結婚してくれ!」


 おみつは頷いた。暗い中で良太に気付くはずがなかった。


「おみつさん、他に誰か好きな人がいるのか?」


「ううん、良太さんだけよ」


 おみつは必死で声を出した。


「本当にあたしと結婚してくれるの?あたしで良いの?」


「当り前じゃないか。おいらにはおみつさんしかいない。おみつさんが好きだ!大好きだ!」


 二人は抱き合った。そのまま一つになった。そして、何度も繰り返した。


 夜は長いようで短い。気がついた時は新年になっていた。


                       つづく

次回は2月7日火曜日です。