Shopping Cart
Your Cart is Empty
Quantity:
Subtotal
Taxes
Shipping
Total
There was an error with PayPalClick here to try again
CelebrateThank you for your business!You should be receiving an order confirmation from Paypal shortly.Exit Shopping Cart

    不妊な人生 1.

 世の中がどうなってもいい。あなたさえいれば良いの。あなたのためならどんなことでもするわ。


 あなたの喜ぶ顔が一番嬉しいの。私はあなたのために生きているの。全てがあなたのためなの。


 でもごめんなさい。子供が出来ないの。あれから5年目になる。私、もう駄目かしら。来年は35歳になるわ。


 どうしたら良いの。病院は嫌だわ。怖い。もしかして出来ない身体だと言われたら。私、どうしょう。


 結婚して10年になる。結婚と同時に夫の美紀夫は言った。


「30歳になるまでは子供は作らない。僕たちの人生だ。若さをエンジョイしよう。若い僕らの特権だ」


 2つ年上のあなたは、私が30歳になるのを待ってくれた。あなたはその時から避妊具を使用するのを止めた。


 それから、セックスが素晴らしく心地良いものと知った。自分の身体が知らぬまに勝手に動き出す。未知の世界に入り込んだ。


 30歳までの5年間は、時にはうんざりしたこともあった。勝手にどうぞと、自分の身体をほったらかしにしたこともあった。


 今は違う。あなたはいつも本気。私の中は精液で溢れる。心も身体も充実感で一杯になる。幸せに満ちて嬉しい。


 どうして妊娠しないのだろう。もしかして、私に原因があったらどうしよう。怖い。知りたくない。

 

 世の中には子供が10年出来なかったと言う話はざらに聞く。それなら私、まだ5年だもの。きっとこれからね。そう思い直したら、眠くなって来た。


 ドアの開く音がした。美紀夫が帰って来た。慌てて立ち上がったが遅かった。電気が点いた。


「あっ、帰ってたのか。電気も点けないでどうしたんだ?」


 理恵子は近くの電気メーカーの経理事務をしている。いつもは5時に終わるので6時前には自宅に帰っている。


「ごめんなさい。眠ってしまったみたい。お腹空いたでしょう。直ぐ食事作るね?」


「作らなくて良いよ。たまには食べに行こう。何が良いかな?」


「ご馳走してくれるの?」


「そのつもりだよ」


「本当?じゃ、うなぎ」


「あーあ、言うんじゃなかったな。でも久しぶりだな」


「そうよ。うーんと精を付けてもらわなくっちゃ!フフ」


「何だ、その笑い!嬉しそうに…」


「そうよ、久しぶりだもん」


 理恵子は不妊のことは忘れて、今夜のことを思うと身体がきゅっと熱くなって来た。


                       つづく

次回は3月6日金曜日朝10時に掲載します