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     マスク美人 3.

 男はページを切り取ると彼女に手渡した。


「ありがとうございます。どちらを先に行った方が良いですか?」


「店は300メートルぐらいしか離れていませんので、両方一緒に行かれたら良いですよ」


「両店食べれますかどうか」


「大丈夫です。余程の小食でなければ食べられます」


「あら、私、小食ですけど」


「あっ、ごめんなさい。失礼しました。それではやぶ蕎麦を先に行かれたらと思います」


「ごめんなさい。私蕎麦は好きですからもりでしたら2枚ぐらい食べられます」


「良かった。でしたら同じくやぶ蕎麦が先です。ここではもりでなくせいろと言うのですが量が少ないですね」


「この後、続いてまつやに行かれると良いですね。待ち時間があるから丁度良いですよ」


「メモの下に僕の携帯番号を書いておきました。わからなくなったらお電話下さい」


 男は名前と携帯番号を添えて渡した。


「ありがとうございます。近々行ってみます」


「あのう、お名前だけ伺っても良いでしょうか?」


 男は遠慮がちに聞いてみた。


「森山と言います。よろしくお願いします」


「僕は山本と言います。よろしくお願いします」


「あら、やまやまですね。その時はお電話させて貰います。今日はありがとうございました」


 森山は蕎麦の入ったカゴを手に他の売り場に移って行った。山本はその場にぼーっとして立っていた。


「綺麗な人だ。こんな人とデート出来たら良いな。森山さんと言うんだ。良い名前だな」


 別段に普通の名前だが男には素敵な名前に思えた。時計を見ると19時を過ぎていた。山本は弁当売り場に急いだ。


 森山さんと一緒になると良いなと思いながら足を運んだ。残念ながら彼女はいなかった。


 今日は良い日だ。よし奮発しよう。トロの入ったにぎり寿司を選んだ。この前買いそびれたからだ。


 普通の弁当の倍の料金がするが躊躇なく買った。そうだ!今日は発泡酒でなく、ちゃんとしたビールにしよう。


 それから1週間が過ぎたが何の連絡もなかった。2週目も同じだった。携帯番号ぐらい聞いておけば良かった。


 山本はシャイだった。聞いて断られた時の恥ずかしさを考えていた。


 こんなに気になるのなら、断られるのを承知で聞けば良かった。断られたらそこであきらめもついたと思った。


 明日は日曜日。今日で10日になる。電車の中で会うことも無かった。明日は久しぶりに秋葉原に行こうと思った。


 その時、スマホが鳴った。見慣れない番号だ。訝し気にクリックすると、


「山本さんでしょうか?私スーパーでお会いしました森山です」


 途端に山本は明るくなった。そして思いっきり明るい声で、


「はい、山本です」


                     つづく

次回は9月25日金曜日朝10時に掲載します