Shopping Cart
Your Cart is Empty
Quantity:
Subtotal
Taxes
Shipping
Total
There was an error with PayPalClick here to try again
CelebrateThank you for your business!You should be receiving an order confirmation from Paypal shortly.Exit Shopping Cart

  マスク美人 14.

 この日、森山は泊って行った。明日は日曜日である。二人は心身共に幸せな一夜を過ごした。


 幸せな朝を迎えた。山本はテーブルの食器などの音に目を覚ました。森山は音をたてないように気を遣っていた。


「ごめんなさい、起こしてしまいましたね。でも丁度良かったわ。朝食のお支度出来ました」


「それから、冷蔵庫の中、勝手に使ってしまいました」


「良いんだよ。何にもなかっただろう。ごめんね。顔洗って来るね」


 山本の心に晴れやかな幸せな思いが広がって行った。顔を洗いながら何だか嬉しくて堪らなかった。


 テーブルには、玉子焼きとウインナー炒め、キャベツとリンゴのサラダ、思いがけないおかずだった。


 それにキャベツの味噌汁とご飯。ありあわせの食材で良くここまでと感心した。それは全ておいしかった。


 三杯もお代わりした。こんな日がずっと続いて欲しいと思った。お茶を飲みながら、ふと気になったことがあった。


「ね、僕ら下の名前知らないんだよね。森山さん何て言うの?」


「あらー!本当!おかしいわ。私、美咲と言います。美しく咲くと書きます」


「良いね。字のごとくだ。綺麗だよ!僕は誠一と言うんだ。言偏に成功の成、そして一番の一。誠一です」


「素敵ですね。お名前の通りです」


「ありがとう。これからは美咲さんと呼ぶね」


「あのう、さんづけは止めて下さい。美咲と呼び捨てにして下さい」


 俯いてそう言いながら、美咲は頬を赤くした。


「わかった。でも何だか照れるな・・・美咲」


「はい!」


 顔を上げてはっきりと返事をした。嬉しそうに笑みを浮かべた美咲の顔は輝いていた。


 誠一は自分から呼び方を言っておきながら、新たな決意に満ちた。


「今週、一日休みを取れないか?」


「はい、大丈夫です。いつですか?」


「君の都合で良い。でも早い方が良いな」


「明日会社に行って、明後日休むことを申請してきます」


「ふふ、理由を聞かないのかな?」


「はい、聞く必要はありません。その通りにします」


「はは、責任重大だな。一緒に役場に行こうと思っている。婚姻届けを出しに行くんだ」


 二人は夕方まで一緒にいた。明日は出勤日である。色々用意があるので、美咲は自分のアパートへ帰って行った。


 次の日、夕食の買い物をして誠一のアパートへ向かった。まだ帰っていない。時刻は19時である。


 ドアの前で待った。15分程して誠一から電話が入った。少し遅くなる。部屋に入って待っていてくれと言う。


 合鍵はガスメーターの下にあると言う。すぐに見つかった。夕食の支度を始めた。20時を過ぎたが帰って来ない。


 もうすぐ21時になる。あれから何の連絡もない。電話したいが仕事であれば邪魔になる。じっと堪えて待った。


                      つづく

次回は12月11日金曜日朝10時に掲載します