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       マスク美人 4.

「突然にお電話致しまして、よろしかったでしょうか」


「いいえ、お待ちしておりました。あ、いえ、大丈夫です。構いません。いつでもどうぞ」


 山本はつい本音を言ってしまった。そして余計なことまで言った。


「すみません。よろしくお願いします」


 森山も合わせるように言った。言葉を続けた。


「明日、やぶ蕎麦とまつやに行こうと思います。地図で調べましたら迷ってしまいました。お茶の水と神田はどちらに降りたら良いのでしょうか?」


「それでしたら、お茶の水が良いです。やぶ蕎麦に近いです。改札は前と後ろにあります。進行方向の前の改札で降りて下さい」


「ありがとうございます。迷っていました」


「お一人で行かれるんですか?」


「はい、そうです」


「良かったら、僕も一緒に行きましょうか?」


「えっ、本当ですか。実はそう出来たらと思っていましが、ご迷惑をお掛けしてはとお思いました」


「僕も久々に行きたいと思っていたところです。ところで何時頃行かれますか?」


「お昼にしたいと思っていますが、何時ごろが良いでしょうか?」


「それでしたら1時頃までは混んでいますのでそれを避けて1時半頃が良いですね」


 お茶の水の改札口で山本は待っていた。約束の1時にはまだ20分もある。じっと改札を見つめていた。


 あっ、彼女だ。急に胸が高鳴った。手を振ると彼女も気付いたようだ。


「お待たせしました。申し訳ありません」


「いえいえ、まだお約束の時間に20分もあります」


 マスクをしているので表情がわかりにくいが目と眉顔全体から恐縮しているのがわかる。しかし、綺麗だ。


「まだ早いですから、ゆっくり歩いていきましょう」


 道は下り坂で楽だった。山本は話すことが無いので、


「この先の交差点を曲がったところに郵便局があります。その間を抜けると右側にすぐです」


「お詳しいのですね」


 横顔がまた綺麗だった。こんな綺麗な人と一緒に歩けるなんてと幸せな気分だった。


 そんな気持ちでいたからすぐに着いた。待たなくて良かった。すぐに席に案内された。


 案内された席に座り、マスクを取った。


「何にしますか?」


 山本が聞くと、彼女もマスクを外した。


「せいろが良いのでしたよね。それをお願いします」


 山本は彼女の顔を見てあれっ?と思った。美人だと思っていた顔が、普通の人だった。


                     つづく

次回は10月2日金曜日朝10時に掲載します