Shopping Cart
Your Cart is Empty
Quantity:
Subtotal
Taxes
Shipping
Total
There was an error with PayPalClick here to try again
CelebrateThank you for your business!You should be receiving an order confirmation from Paypal shortly.Exit Shopping Cart

      11、一つになる

 きぬは寝たのであろうか、小さな寝息が聞こえる。一平は掛け布団をたっぷり掛けていた。気になってきぬの方へそっと手を伸ばしてみた。


 やはり掛け布団は身体を巻き切れていなかった。掛け布団をきぬの方へそっとずらした。その時きぬの身体から艶めかしい匂いがした。女であった。


 一平は抱きしめたい衝動をやっと堪えた。きぬは一平の方へ横向きに向き直った。起きていたのだ。きぬの身体から甘ったるいようなの良い匂いが漂って来た。


 一平は堪えきれずきぬを抱きしめた。口を吸った。一平の手が胸元に滑り込んだ。小さな乳首を探り当てた。きぬはあっと小さな声を洩らした。


  一平はそのまま、きぬの身体に被さって行った。その手は乳房から離れ、きぬの女を確かめるようにそこをそっとなぞった。十分ではないが潤っていた。


 きぬは恥ずかしかった。そんなところを触られるとは思ってもいなかった。手で払おうとしたが、何か別の物が手に触れた。思わず手を引っ込めた。


 その時、そこに何かを押し付けられた。それは少しずつ少しずつきぬを気遣うように入って来た。きぬは心地良くもないが痛くもなかった。


 それが突然痛みに変った。きぬは必死に堪えた。一平は優しく両肩を抱いた。そして、愛しさに口を吸った。一平は身体を押し付けたままじっとしていた。


 きぬは痛みよりも身体に違和感を覚えた。何かが入っている。一平と一つになったのだ。きぬの目から涙が溢れて来た。悲しくなんかない。なぜか嬉しくて一平に両手を回した。それはもっと深く入って来た。


 一平は優しくきぬの髪を撫でた。そして、そっとゆっくり動き始めた。だんだん痛みが薄らいでいった。きぬも慣れてきた。快感こそないが、身体が満たされていて嬉しかった。


 それから間もなくして、一平の動きが早くなり、呼吸が大きくなり、うっと声を出した。きぬは身体の奥に熱い息吹を感じた。それはじわーっと奥に広がって行く。痛みを癒すかのようだった。一平の身体が急に重くなった。


 きぬは朝食の用意に井戸端へ行った。他人に会うのが何だか恥ずかしかった。しかし、時間が遅かったのか誰も居なかった。


 きぬは誰も居なくて良かったと思った。自分の歩きが、ぎこちなかったからである。何か足の間に挟まっているような気がした。


それは原因がわかっている。思い出すと微笑みが出て来た。


 長屋に戻ると一平が正座して待っていた。きぬを見ると照れくさそうに、


「おはよう!私も顔を洗って来る」


 いつもと変わらぬように言うが、明らかに照れているようだ。きぬはそれがわかって顔を赤くした。

 

 朝食を二人でするのは初めてだった。これまで、昼と夜は賃粉切りを一緒にするようになってから、きぬは一平の部屋で食事を作り一緒に食べるようになった。


 二人はなるべく顔を合わせないようにして食事をした。それでもお互いの顔はにこやかな笑顔だった。


 食事が終わってお茶を飲みながら、やっと一平が口を利いた。


「おきぬちゃん。後悔してないか?」


「いいえ、嬉しいです」


 きぬは頬をまた赤くした。


 思い出すと気恥ずかしくなったのか立ち上がり、


「洗い物して来ます」


 井戸端では洗濯が始まっていた。きぬが挨拶する前に、三人から挨拶された。


「おきぬちゃん!良かったね」


「今朝ね、みんなで話してたんだよ」


「起きて来ないね。具合でも悪いのかな?て」


「そしたらこの人、おきぬちゃんの隣でしょ。昨日帰ってないよだって」


「あーあ!心配して損しただって。あたしじゃないよ、この人が言ったんだよ」


「おめでとう!夫婦になったんだね。良かったね」


「おめでとう!」


 三人は口々に祝ってくれた。きぬは真っ赤になって自分の長屋へ戻って行った。後ろ姿が嬉しそうだった。


 部屋に一人座ると、涙が込み上げて来た。女になった喜びがひしひしと満ちて来た。一平の顔が見たくなった。


 立ち上がると一平の部屋に向かった。


「ただいま!今、井戸端が混んでいますから後にします」


「少しゆっくりしなさい」


 きぬは一平の顔を見ると嬉しくなった。一緒にいるだけで幸せな気持ちになった。


                                  つづく

次回12回は10月10日火曜日午前10時掲載です

 ☆ライブ出演のお知らせ

10月10日 シャンパーニュ 19時から

 新宿三丁目駅徒歩5分 03-3354-2002

10月19日 アバンセ 19時から

 四谷三丁目駅徒歩7分 03-3352-2248

※お出でになるときは 080-3090-1412へ

ショートメール下さい又は [email protected]

時代小説【人に華あり】の印刷を差し上げます