Shopping Cart
Your Cart is Empty
Quantity:
Subtotal
Taxes
Shipping
Total
There was an error with PayPalClick here to try again
CelebrateThank you for your business!You should be receiving an order confirmation from Paypal shortly.Exit Shopping Cart

     どこかで見た人4.

 男は気になり階段の方を見ていると、買い物袋を手にした彼女がこちらへ歩いて来る。そばまで来て、


「こんにちは!私の家ですか?」


「ええ、昨日浜松へ行って来ました。これ。お土産です」


「あら、うれしいわ。お土産頂くの何年ぶりかしら」


「ささやかなお土産で、すみません」


 男はその後続ける言葉が無く、軽く会釈して自分の部屋に入ろうとすると、


「お茶でもいかがですか?一緒にいただきませんか?」


「えっ、良いんですか?」


「散らかってますけど、どうぞ!」


 思いがけない展開に、男は心どきどき嬉しかった。綺麗に整頓された部屋の真ん中に炬燵があった。


「どうぞ、お入りください。紅茶と珈琲どちらが良いですか?」


 男は炬燵に入るのは何年ぶりだろう。懐かしかった。入るとなぜか落ち着いた。


「珈琲お願いします」


「はい、今時炬燵は珍しいでしょう?私青森なんです。冬は炬燵が無いとだめなんです」


「炬燵は良いですね。何だか落ち着きます。水野さんは青森でしたか?だからりんごが美味しかったのですね。僕は福岡です」


「あら、嬉しいですわ。実は自慢なんです。家で作ってます。でも、おいしいと言われると嬉しくなります」


「福岡は冬も温かいのでしょうね?」


 彼女は珈琲を淹れながら言葉を続ける。


「東京とそう変わりませんよ。ただ、春が早いですね」


 彼女は珈琲を出しながら、心が躍っていた。引っ越しの挨拶の際、素敵な人の隣で良かったと思い、いつも気になっていた。


 しかし、隣に住みながら会う機会はなかった。今、炬燵に一緒に入り顔を合わせている。平静を装っているが、どきどきしていた。


                           つづく

次回は1月12日最終回です。