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   どこかで見た人3.

「ありがとうございます。りんごは大好きです」


「あら、良かったわ。どうぞ」


 にっこり笑って、りんごを渡し彼女は帰って行った。


 男は思った。思えば通ずと言うが思いがけないことであった。りんごはとびっきり美味しかった。


 食べながら幸せな気持ちになった。かじった時の甘酸っぱい優しい香りが彼女の顔と重なった。


 今日は金曜日、隣に住んでいながら、あれから彼女と会うことはなかった。男の帰宅はまちまちの時間だが、彼女の部屋はいつも電気が点いていた。


 明日は土曜日。明日は会える。そう思った時、男の淡い心は、恋心とやっと気づいた。


 次の朝、男は六時から入口の中で隣のドアが開くのをじっと待った。七時が八時になってもドアは開かなかった。結局八時半まで待ったがドアの開く音はしなかった。


 男は心配になった。身体の具合でも悪いのだろうか?


だが考えてみれば、ゴミの日は火曜日と土曜日。土曜日に限ったわけではないのだ。男は少し安心した。しかし、どうしても会いたくなった。


 りんごを持って来た時の彼女の優しい笑顔が忘れられない。


 男は一計を案じた。出張に行ったことにしてお土産を持って行こう。


 思い立って直ぐ、東京駅にある全国のお土産売り場に出かけた。浜松のうなぎパイを買った。昼前に自宅へ着いた。


 直ぐ持って行こうかどうしょうか?男はそわそわと部屋の中をぐるぐる歩き回った。胸がどきどき高鳴った。


 思い切って土産を持って彼女の部屋の前に立った。


 呼び鈴を押したが返事が無い。間を開けて三度押したが返事が無い。留守だ。


 男の胸の高鳴りは急速に冷えて行った。


 その時、階段を上がってくる音が聞こえて来た。


                       つづく

次回は1月5日です。