Shopping Cart
Your Cart is Empty
Quantity:
Subtotal
Taxes
Shipping
Total
There was an error with PayPalClick here to try again
CelebrateThank you for your business!You should be receiving an order confirmation from Paypal shortly.Exit Shopping Cart

   どこかで見た人 2.

 あれから1週間が過ぎた。朝は出勤時間が違うのだろう。会うことはなかった。帰り時間はまちまちだが、いつも電気が点いていた。男はどうしても会いたくなった。


 今日は土曜日で、ゴミ出しの日だ。入口で隣のドアの開くのを待っていた。朝六時から待機していた。七時少し過ぎたとき隣のドアが開く音がした。


 待った甲斐があった。男は自然を装うため直ぐには出なかった。彼女が階段を下り切った頃を見計らい、ゴミを持って外へ出た。


 ゴミ置き場に近い所で、戻ってきた彼女と出会った。


「おはようございます」


 彼女から先に声をかけられた。


「おはようございます。暫くでした。良い天気ですね」


「ほんとに良い天気ですね」


「今日はお出かけですか?」


 男は何気ないふりをで聞いた。


「ええ、まぁ・・・」


「良い天気で良かったですね」


 これ以上話は続かなかった。男は部屋に戻ってから後悔した。


 先日はありがとうございました、お礼にお食事でもとか、あるいは映画にでもとか言えば良かったと思った。


 男の考えは古臭かった。いいえ結構ですと言われる誘い文句しか、頭に浮かばなかった。


 女性の気持ちは全く理解できなかった。だから四十になっても恋人は出来なかった。


 男は端正な顔立ちで、すらりと長身でもあり、人目を引いた。恋人のいないのが不思議なくらいだった。


 その時呼び鈴がなった。


「隣の水野です」


 男は急ぎ戸を開けた。


「郷里から送って来たりんごです。お召し上がりになりませんか?」


                                  つづく