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     すれ違い 8.

「ねぇ、同僚と飲んでたんだよ。4人でサウナに泊まったんだよ」


「……」


 山口は視線を水野に移した。


「出社時間ぎりぎりまでいて、そのまま会社に行ったんだよ。ごめんね。連絡しなくて」


「どうして、朝、電話してくれなかったの」


 山口はやっと口を開いた。


「ごめんね、みんなと一緒だし、電話するのはみっともないし……」


「私、心配になって何度も電話したのよ。メールだってくれないし。会社に行ってもずーっと心配してたのよ」


 山口は両手で顔を抑えて泣き出した。水野は立ち上がると彼女のそばに行き、そっと抱きしめた。


「ごめんね。僕が悪かった。給料日で、みんなと一緒に飲みに行ったんだよ。ごめんね」


 この夜の2人は濃厚に愛を確かめ合った。次の朝、2人は晴れやかに元気に出社した。


 ひと月経った給料日。水野は又帰えらなかった。彼女には理解して貰っていると思っていた。メールは忘れなかった。


 そしてふた月目、今度が3回目である。前回と同じように〝サウナに泊まる〟と一言メールをした。


 この日も給料日で、何だか懐が急に温かくなった気がして同じメンバーではしご酒。そしてお決まりのサウナ泊。


 サウナでアルコールも抜けて、爽やかに出社した。山口への連絡はメールのみである。それで良いと思った。


 水野がアパートへ帰り着くと、部屋は真っ暗だった。鍵を開け中へ入る。寒々としていた。山口の帰った気配がない。


 彼女に電話してみた。電源が入っていませんと案内が聞こえてきた。


                        つづく

次回は12月6日金曜日朝10時に掲載します