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     すれ違い 7.

「ごめんなさい………」


 山口は顔を上げずに、俯いたままでぽつりと言う。水野は何と答えて良いかわからず、すぐには返事が出来なかった。


「わかった。僕が悪かった。あまりにも急な話過ぎたね。ごめんね。だけど、一緒に住んでも良いんだよね」


「うん、住んでも良いわよ。山口君と一緒だと楽しそうだもん」


 ゆっくり顔を上げると、作り笑いをしながらそう言った。どう言うつもりだろう。水野には理解出来なかった。


「ありがとう。実は、引っ越し先見つけてあるんだ。山口が気に入れば引っ越したいと思っている」


「あら、手回しが良いのね。私は水野君が決めたところならどこでも良いの」


「じゃ、食事したら見に行こう。きっと気に入ると思う」


 そこは、新築アパートの二階。2DKでベランダがあり、日当たりが良く明るい部屋だった。


 月末の日曜日に引っ越しした。二人は一緒に住み始めた。誰が見ても仲の良い夫婦だった。


 しかし、結婚と言う法律は人知を極めたものであろう。3か月もしないうちに、互いにわがままが出て変化が生じた。


 二人は20年以上、勝手気ままに一人で暮らしてきたのである。初めは抱き合って寝た。2か月もすると別々になった。


 水野は夜型、山口は朝型。当然、山口は先に寝るようになった。それでも週に2日は抱き合った。


 そこにも問題が起きた。避妊のことである。山口は無着用を許さなかった。水野は子供が欲しかった。


 夫と妻でないと言うことは、生活の全てに影響した。住み始めの頃の、譲り合いの気持ちは次第に薄れて行った。


「どうして、黙っているんだよ。電車が無くなったんだよ」


 山口は黙ってテーブルに座ったままである。テーブルには夕食の用意がしてあった。


「電話したじゃないか。ごめん!悪かったよ」


 山口は黙って違う方向を見つめていた。


                      つづく

次回は11月29日朝10時に掲載します