Shopping Cart
Your Cart is Empty
Quantity:
Subtotal
Taxes
Shipping
Total
There was an error with PayPalClick here to try again
CelebrateThank you for your business!You should be receiving an order confirmation from Paypal shortly.Exit Shopping Cart

        すれ違い 6.

 久しぶりのボーリング。3ゲーム楽しんだ。スコアは互いにガーターが多くて初心者レベルだった。


 それがまた楽しかった。水野にその後の予定は考えてなかった。時間はまだ16時になったばかり。


 このまま帰りたくない。


「珈琲飲みに行こうよ」


 山口も同じ気持ちだった。即座に、


「ええ、私も飲みたいと思ってたの」


 二人は1階のコーヒーショップ入って行った。


「私、15年ぶりのボーリングよ。でも、ちゃんと投げられたわね」


「上手いもんだよ。僕は5年ぶりだけど、同じレベルだね」


「それは違うわ。水野君の方がずっと上手いわよ。スコアだって良いし。ね、また、来ましょうよ」


この日以来、二人は毎週日曜日に会うようになった。そして、土曜日も。帰りは水野が山口のアパートまで送った。


二人のアパートは、駅を挟んで2キロ程しかない。いつしか互いのアパートを行き来するようになった。


 水野は山口を愛した。山口も水野を愛すようになった。相思相愛である。必然的に身体の結びつきも出来た。


日曜の朝、味噌汁の匂いが漂う。テーブルには、ハムエッグに海苔とわさび漬け、きゅうりのぬか漬けが並んでいる。


 水野は昨夜泊まった。洗面所で洗った顔を拭きながら、それを言う決心をしていた。テーブルに座ると姿勢を正し、


「一緒に住んで欲しい」


 水野の突然の言葉に山口は驚いた。それでも山口は嬉しくなって、


「良いわよ。でも大丈夫かしら…」


「大丈夫って何が?」


「どっちに住むの?」


「少し大きめのマンションを借りる。そこに住もう」


「あら、良いわね。このアパート年内いっぱいで更新なの」


「それは丁度良い。それと、けじめと言うか婚姻届けを出したい。結婚して欲しい」


 山口は結婚と言う言葉を聞いて、急に心にためらいが出た。女として終わりになると思った。寂しさが心を過った。


「それは少し待って。一緒に住んでみて、お互いにもっと知り合ってからではどうかしら?」


「僕は結婚したい。山口が好きなんだ。きっと幸せにする」


「私も水野君好きよ。でも、私達の人生はまだ50年近くあるのよ。こんなに簡単に決めてしまって良いのかしら」


「よくよく考えた上でのことだ。心から愛している。結婚してくれないか?」


「私、結婚に自信がないの」


「一緒に住んでも良いと言ったじゃないか?」


「正直に言うね。結婚と言う言葉を聞いて怖くなったの」


 水野は何と言って良いかわからなくなった。彼女をじっと見つめた。山口は俯いたままだ。


                        つづく

次回は11月22日朝10時に掲載します