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        すれ違い 5.

 「でもね、山口が独身でいるなんて変だよ」


「どうして?」


「あの頃は、目立たなかったけど。今はね…」


「今は何よ!どう言う意味で言ってるの?」


「綺麗だからさ」


「ありがとう。そう言ってくれるの水野君だけよ。だけどそんな話止めよう。別に独身だって良いじゃない。結婚しなければいけないの?」


 山口がにっこり笑いながら言う。


「ごめん!そうだね。結婚しなければいけない理由ってないよね」


「そうよ、時代は変わったのよ。女性は結婚したらみんな同じよ。子供を産んで育てて、おばあさんになる」


「そうか、男は夢を持ちそれに向かって進む。決定的な違いだ。そう言う意味では女性の人生は画一的だな」


「女も夢を持って生きて行くの。人生は平等なの。男も女も同じでしょう」


「そうだね。確かにそうだ。人間は平等だ」


 水野はそう言いながら何か違和感を覚えた。


「山口はどんな夢があるの?」


「夢?今はないわ。でも、その可能性を持てる生き方をしてるわ。水野君はどうなの?」


「夢と言うか、改めて考えたことがなかった。もちろん、学生時代はあったさ。でも、就職の時点で現実に戻された」


「じゃ、夢がないと言うことね」


「そうでもないんだ。社長にはなれないけど、そこそこにはなりたいと思っている」


「夢って色々ね。現実の延長線にあるのね」


 二人の間に冷たい空気が流れ始めた。


「あのね、夢なんて大げさだよ。敢えて言うなら、今こうして山口と一緒にいることだよ。一週間ずっと待ち続けていたんだよ」


「本当?実は私もそうだったの」


「昨日はわくわくして、なかなか眠れなかったんだ」


「嘘ばっかり、さっさと先に歩くし、ついていくの大変だったんだから」


「それは違うよ。早足が癖なんだよ。ごめんね。これから腹ごなしにボーリングしない?ここの地下にあるんだよ」


「良いわね。行きましょう」


 山口は嬉しそうに答えた。


                        つづく

次回は11月15日朝10時に掲載します