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     すれ違い 1.

 こうなることはわかっていた。これで終わりになるかも知れない。諦めに似た気持ちが心を過った。


 どうすれば、今の状況をわかって貰えるのだろう。男は口下手だった。むしろ無口と言った方が良い。


 一緒に住み始めてまだ半年にしかならない。彼女は高校時代の同級生である。


 去年の秋、高校の同窓会で再会して付き合うようになった。同窓会に集まった同級生に、独身は少なかった。


 それは当然かも知れない。卒業20周年の同窓会であり、当然のことだが全員40歳に近い歳になる。


 高校時代の彼女は、クラスの女子としての認識しかなかった。それが同窓会では一番の美人だった。男はそう思った。


 しかし、彼女は人と話すのが苦手なようで、殆ど一人でいた。男は気になって話しかけた。


 会話にならない。聞くことに答えるが、その後が続かない。男も会話は苦手だった。子供の話ならと気を利かして、


「お子さんは何人いるの?」


 彼女はえっと驚いたような顔をして男を見た。


「私、独身です。変でしょう。みんな結婚しているのに」


「そんなことないよ!僕も独身だよ」


「えっ、水野君独身なの?」


「そうだよ、今日は肩身の狭い同窓会だよ。来なきゃ良かったと思っているくらいだよ」


「私もそうだったの。卒業20周年の同窓会と言うから、初めて出席したの…」


 彼女は寂しそうな顔をした。


「僕もそうだよ。だから初めての同窓会出席だよ。しかし、みんな叔父さんと叔母さんになっていて、笑っちゃった」


「フフフ、そうかしら」


 やっと彼女が笑った。


「ね、どこに住んでるの」


「東京よ」


「僕もそうだよ。中野区だよ」


「あら、私も中野区よ!」


「えっ、どこ?」


「教えられないわ」


「わかった。じゃ、電話番号教えて」


 二人は電話番号を教え合った。


                       つづく

次回は10月18日金曜日朝10時に掲載します