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     あなたは恋を知らない 9

 麗子の返答がない。田村は年齢を言わなければ良かったと後悔した。


「僕は結構若く見られます。驚きましたか?」


「いいえ、落ち着いた素敵な方だと思っていましたから全然です」


「えっ、素敵?からかわないで下さい。実は半分諦めています」


「諦めるとは結婚ですか?」


「何だか変な話になりましたね。そうです」


「好きな方だとか、いらっしゃらないのですか?」


「いません。社会人になってから一度もありません。仕事が全てでした」


「仕事が全て?今時そんな方いらっしゃるのですね。私にとって仕事は、生活の為の手段です」


「香山さんは、お付き合いされてる方はいらっしゃるでしょう?当然ですよね」


「残念でした。いません。一種の男性恐怖症です」


「どんな理由があるかわかりませんが、もったいないですね」


「どうして?」


「どうしてと言われても……」


 田村は言い淀んだ。そして、


「場所を変えませんか?」


「どこに?……」


「いえ、ご心配無用です。駅構内のカフェです。帰りも便利です」


 麗子は構内のカフェなら帰りに都合が良く、しかも安心と思い行くことにした。


 二人はカウンターに座った。ショットバーのような雰囲気である。JR系列のカフェでカクテルまで用意されている。


「カクテルいかがですか?」


「お酒弱いですから」


「大丈夫です。アルコールは少こししか入っていません」


 ピーチカクテルが運ばれて来た。


「あら、おいしいわね!」


「でしょ!マンゴとかフルーツの入った物もありますよ」


「酔わないかしら?」


「アルコールは少ししか入っていません」


 たわいもない話が途切れもなく続いた。二人は互いに、会話が止まるのが怖かった。


「私達って恋を知らない同士なのね」


「でも、今は珍しくないようですよ。だから、結婚しない人が増えているようです」


「わたし、恋がしたい。このまま歳をとるのは嫌だ」


 麗子はぽつんと独り言のようにつぶやいた。


                      つづく

次回は8月10日金曜日朝10時に掲載します