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   あなたは恋を知らない 6

 麗子に予定があったわけではない。場所を移すのが面倒になった。


 そもそも書店へ来たのは、買いたい本があって来たわけではない。


 ふと、この前のことを思い出したのである。初めてあった人に食事までご馳走になった。


 私を誘う人がいるとは思わなかった。しかし、どんな人だったか良く思い出さない。


 もう一度会って見たいと思った。それが書店へ来た理由だった。


 変なもので何だか会えるような気がした。同じ場所に今日も彼はいた。


 声をかけると一瞬驚いた顔をしたが、にっこりと笑顔で話しかけて来た。


 知的な紳士風でルックスは悪くなかった。しかし、YOSHIKIと比べたら雲泥の差。魅力に欠けるわ。


 YOSHIKIを思い浮かべると目の前にいるのはオジサンだった。


 二十年程前、いつの間にか別れた人がいた。それは別れるとはっきり言ったわけではないからである。


 学生時代のサークル仲間。なぜか気が合って卒業しても交際していた。


 ある日、終電が無くなったのを理由にホテルに泊まることになった。


 泊まるだけと言うのを信じた私が悪いのだけど、子供だったのね。


 以来会うと身体を求められた。少しも楽しくなかった。苦痛でさえあった。だんだん会うのが嫌になった。


 気が付くと彼とは疎遠になっていた。そのまま今に至っている。正確には別れたと言うのではないのかも知れない。


 考えてみれば、好きだとか愛だとか彼に一度も感じたことはなかった。ただ、一緒にいるのが楽しかった。


 その頃好きになったのがデビューしたばかりのロックバンドXJAPANだった。 


 彼らの音楽は、澱のように溜まった心の憂さを綺麗に晴らしてくれた。


 特にリーダーのYOSHIKIには身体ごと痺れた。演奏時の彼には不思議なセクシーさがあった。


 その演奏は身体の奥から何かが這い上がって来るようにぞくぞくとした。身体に心が溶けていく。


 不意にメールが入った。田村からだった。


                        つづく

次回は7月20日金曜日朝10時に掲載します